オンライン産業医面談は可能?実施時の注意点と情報管理

テレワークや多拠点化が進み、産業医面談をオンラインで実施したいと考える企業は増えています。結論として、情報通信機器を使って産業医の職務の一部を遠隔で実施することは可能です。

ただし、オンラインであれば何でも代替できるわけではありません。面談目的、本人の状態、通信・場所の安全性、本人確認、健康情報の取扱いを踏まえ、産業医が対面の必要性を判断できる運用が必要です。

  • オンライン産業医面談は可能だが、対面を不要にする制度ではない
  • 面談前に、本人確認・プライバシー確保・通信品質・緊急時連絡を確認する
  • 健康情報を扱うため、アクセス権限・記録・端末管理を明確にする
  • 産業医が対面を必要と判断した場合に切り替えるルールを契約・社内規程に入れる

オンラインで実施できる産業医活動と、対面確認が重要な場面

厚生労働省は、一定の留意事項を満たす場合、情報通信機器を用いて産業医の職務の一部を遠隔で実施することを認めています。オンライン面談は、遠隔地の従業員、在宅勤務者、短時間での相談枠確保に有効です。

オンラインと相性がよい活動対面確認を検討しやすい活動
健康相談、休職中・復職前の事前相談表情・行動・身体状況の詳細な確認が必要な場合
長時間労働者への面談(要件・状況を満たす場合)緊急性が高い、自傷他害リスク等が疑われる場合
人事・管理職とのケース相談作業環境・設備・動線など現場確認が主目的の場合
衛生委員会・定例打合せ産業医が直接対面での面談・診察等を必要と判断した場合

実施前に決めるべき7項目

1. 面談の対象と目的

長時間労働、ストレスチェック、休復職、健康相談など、面談の根拠と目的を明確にします。制度に基づく面接指導では、関係する通達・手順との整合を確認します。

2. 本人確認と参加場所

第三者が同席していないか、周囲に会話が聞こえないかを確認します。自宅の共有スペース、カフェ、車内などでは、本人が安心して話せない場合があります。

3. 通信品質と代替手段

音声・映像が安定しない場合は、重要な聞き取りやリスク評価が不十分になります。電話への切替、再予約、対面対応の基準を決めます。

4. 緊急時の連絡先

面談時に体調悪化や自傷他害リスクが疑われた場合に備え、本人の現在地、緊急連絡先、社内の連絡窓口、地域の救急相談先を確認できるようにします。

5. 記録と情報共有

面談記録は、アクセス権限を限定した環境で保管します。会社へ共有する情報は、病名や詳細な治療情報ではなく、原則として就業上必要な意見に絞ります。

6. 利用ツールの安全性

利用する会議ツール、アカウント、招待方法、録画の可否、データ保存先を決めます。健康情報を扱うため、外部漏えい・不正アクセスを防ぐ技術的・組織的措置が必要です。

7. 対面へ切り替える基準

産業医が「直接会って確認する必要がある」と判断した場合に、誰が日程・場所を手配し、費用・勤務時間をどう扱うかをあらかじめ決めます。

情報管理で特に注意するポイント

論点望ましい運用
面談場所本人が一人になれる場所を確認し、第三者の同席を原則避ける
端末共有端末を避け、画面ロック・OS更新・ウイルス対策を徹底
会議URL待機室、パスコード、個別招待などで参加者を制御
録画・録音原則として安易に実施しない。実施する場合は目的・保管・同意を明確化
記録保管アクセス権限、閲覧ログ、保存期間、削除ルールを設定
情報共有人事・上司には就業措置に必要な範囲で共有

オンライン面談の当日フロー

タイミング実施内容
面談前本人へ案内、同意・注意事項、緊急連絡先、通信確認
開始時本人確認、周囲に第三者がいないか確認、面談目的を説明
面談中健康状態・勤務状況・生活状況を確認。必要時は対面への切替を判断
終了時就業上の留意事項、次回連絡、緊急時の相談先を確認
面談後記録作成、会社へ必要最小限の意見を共有、保管

会社側が避けるべき運用

  • 本人の了解なく録画・録音する
  • 上司を同席させ、本人が自由に話せない状態で面談する
  • 自宅以外の場所からの参加を一律に強制する
  • 通信不良のまま重要な面談を続ける
  • 面談の詳細な発言内容を人事評価や配置転換の根拠として広く共有する

よくある質問

Q. Zoomなど一般的な会議ツールを使ってもよいですか?

A. 利用自体は可能ですが、健康情報を扱うことを前提に、アカウント管理、招待方法、待機室、パスコード、録画設定、アクセス権限、保存先を確認する必要があります。

Q. オンライン面談は勤務時間として扱いますか?

A. 会社が業務として実施を求める面談か、任意の健康相談かなどにより整理が必要です。対象面談ごとに就業規則・労務運用と整合させてください。

Q. 産業医が遠隔地から面談しても問題ありませんか?

A. 留意事項を満たし、産業医が職務を適切に実施できる環境であれば、選任事業場以外の場所から職務の一部を遠隔で行うことが認められています。

参考資料

  • 厚生労働省「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項」
  • 厚生労働省「情報通信機器を用いた医師による面接指導の実施について」
  • 厚生労働省「労働者の健康情報に係るプライバシー保護に関する検討会報告書」

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